小学生でも分かるトルクと馬力の話
(本当に早いクルマとは?)
20-3. ハングオンの効果
それでは何故ハングオン(上体をカーブ内側にずらす)をすれば、コーナリング性能が良くなるかご説明したいと思います。
何故ハングオン(上体をカーブ内側にずらす)をするとコーナリング性能が良くなるか?
下の図は、前述のバイクに働く力に、タイヤと路面の間に働く力を追加しています。
バイクでカーブを曲がるには、遠心力とバランスを取るため車体を内側に傾けました。
そうすると倒れはしないのですが、タイヤと路面の間には赤い矢印の力が発生します。
この赤い力が、タイヤのグリップの範囲内なら良いのですが、スピードが上がり更に車体をどんどん傾けると、いつか赤い矢印がタイヤの限界を超え、ついには転倒する事になります。
これを防ぐためには、どうすれば良いか?
車体の傾きを、極力少なくすれば良い事になります。
そのためにはどうするか?
では次にバイクに乗っている人が、車体の中心からずれて乗った場合を考えてみます。
倒れる 倒れない 倒れない
上の図のAの様に乗ると重心が左にずれる事から、このままではオレンジの方向に倒れてしまいます。
ところが、車体を右に傾けると重心がタイヤと地面の接触点に向きますので、倒れないで進む事ができます。
自転車で片方のペダルだけに足を掛けて乗ると、この状態になります。
ペダルに片足を掛けて乗ると、自転車は傾く
ではこの状態で青い矢印の方向に曲がるとどうなるでしょう。
その場合、車体の傾きを減らしてカーブを曲がる事ができるのです。
それを表したのが、下の図です。
この図Cをご覧頂きます様に、同じ重力と同じ遠心力を受けながらも、車体を大きく傾けなくてもカーブを曲がれるという事が分かって頂けると思います。
すなわちハングオンを行うと、車体を傾ける量を減らしてカーブを回れるので、より早いスピードでカーブを走れるという訳です。
ハングオンを行うと、車体を傾ける量を減らせる
またまたいつもの写真ですが、もしこの写真の様にハングオンしないでカーブを曲がると、車体はもっと内側に傾く事になります。
またカーブ内側の膝を突き出すのは、重心をカーブの内側に更に移動させるためで、傾き具合を知るためではありません。
なおこのハングオンスタイルは、何もレースだけでなく、雨で滑り易いカーブを自転車で走る場合でも有効です。
知ってしまうと簡単な事です。
20-3. ハングオンの効果/第20章:テクニック編Ⅱ