タイヤを太くしてもグリップは変わらない
(タイヤの摩耗量から見た立証)

2018/9: 発行

目次



1. はじめに


本サイトがしつこく扱っている、”タイヤを太くしてもグリップは変わらない”の立証第2弾です。

突然ですが、タイヤを太くしてグリップが良くなったかどうかを比較するとしたら、どういう試験を行なえば良いと思われるでしょうか?

誰しも思い付くのは、0-400m加速試験、フルブレーキングテスト、サーキットでのラップタイムの比較など、簡単にはできない試験ばかりではないでしょうか?


タイヤのグリップを比べるのにドラッグレースは必要ない

ですが、グリップの良し悪しを比較するのにそんな大仰な試験は必要ないのです。

同じ道を、同じ速度で走って、タイヤの摩耗量を比較すれば、それだけでグリップの良し悪しは分かるのです。

今回はこのタイヤの摩耗量を指標として、タイヤが太くなってもグリップは良くならないという事を、立証したいと思います。


2. タイヤの摩耗量とグリップの関係


F1レース等を初めとするカーレースに興味がある方でしたら、ご存じでしょう。

今どきのレーシングカーは、エンジンを含めて車両側の性能がどんどん向上してきている事から、気が付いてみたら、一番限界点の低いタイヤが、レースの勝敗を決めるまでに至っています。


  
昨今のカーレースは、タイヤの性能が勝敗の行方を大きく左右する

それと同時にレーシングタイヤは、一般のタイヤよりグリップ(摩擦係数)が高く、高速走行時には熱でベトベトになり、その分摩耗が早い事もご存じの事でしょう。

という訳で、グリップが高いタイヤほど、摩耗が早いというのは、どなたもすんなりご納得頂けるのではないでしょうか。


3. 太さの異なるタイヤの摩耗量


では、同じクルマに太さの異なる同じ種類のタイヤを履かせて、同じ道を同じ速度で走行したら、どちらがより早く摩耗するでしょうか?

恐らくタイヤが太ければグリップが良くなると考えられる方は、太いタイヤの方が摩耗し易いと思われるのでしょう。

ですが、そんな事が本当に有り得るでしょうか?

例えば、下の図の様にあるクルマのタイヤの太さを2割増しにしたとします。


同じ距離を走った場合、タイヤを太くしても全摩耗量は同じ

その場合、タイヤの接地面積が2割増しになります。

となると、タイヤが地面から受ける単位面積当たりの力は、クルマの重量が2割減ったのと同じ事になります。

となると、(わざわざ実験するまでもなく)太いタイヤの寿命は、細いタイヤより2割延びるのは間違いないでしょう。

タイヤの寿命が2割延びるという事は、摩耗して削れるタイヤの厚みが2割減った事になりますが、タイヤの幅が2割長いので、結局のところ摩耗量は同じであり、グリップも同じだという事になります

この様に非常に簡単な事例においても、タイヤが太くなってもグリップは変わらないと言えるという訳です。


4. まとめ


生憎上記については、裏付けとなるデータが一切ありませんが、全く矛盾が無いのは分かって頂けると思います。

そろそろ信じて頂いても良いのではないでしょうか。

タイヤを太くしてもグリップは変わりません。

これは太陽が東から登るのと同じくらい、当たり前の事です。




タイヤを太くしてもグリップは変わらない(タイヤの摩耗量から見た立証)


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