フォレスターの後輪にチェーンを巻いたらダメの理由

2018/12/11(火)

はじめに


巷では、タイヤチェーン装着の義務化が話題になっています。

今まではチェーン規制があっても4輪にスノータイヤを履いていれば、チェーンを巻く必要は無かったので、雪国ではちょっとした騒動です。


ただし実際には、雪で立往生のおそれがある区間を従来よりも早めに通行止めにするのに伴い、物流への影響を少なくするため、限定的な走行を認める代わりにチェーンの装着を義務づけるというもので、むしろ好ましい対応と言えます。

それに関連して、だったら4WD車の場合チェーンは前後どっちのタイヤに付けるのかと、喧(かまびす)しい話題が巻き上がっています。

なかでも弊サイトが気になったのは、4WDの場合4輪に付けてはいけない場合があるとの指摘です。

その理由はセンターデフが誤動作する可能性があるからというのですが、そんな筈はあり得ません。

という訳で、昨今品質問題で忙しいスバルさんに本件を尋ねてみました。

はたして納得できる回答を頂けたのでしょうか?

本書はその顛末記を時系列でご紹介していますので、心して楽しんで頂ければと思います。


チェーンを4輪に巻いたらダメ!?

2018/12/11(火)

一体どこの誰がこんなデマを拡散しているのでしょう。

最近ネットでは、4WDの場合4輪にチェーンを巻いてはいけない場合があるとの嘘情報が広がっている様ですが、冗談じゃありません。

例え2輪駆動であっても4輪にチェーンを巻けば、天下無敵の雪上走破車になるというのに。

その話は別の機会にするとして、調べてみるとこの嘘情報の発端は、どうもスバルの取扱説明書に端を発している様です。

下はスバルフォレスターの取扱説明書の抜粋です。

スバルフォレスターの取扱説明書の抜粋

これを見ると、確かに”後輪にはタイヤチェーンを装着しないでください”と、しっかり書かれいます。

ですが、本サイトをご覧頂いている賢明な読者の方々でしたら、これは2輪にチェーンを巻く場合はくれぐれも後輪に巻いたらだめだよと、念を押しているのだと分かって頂ける事でしょう。

ちなみにくだんの嘘情報によれば、4輪に巻いてはいけない理由について、”4輪すべてにチェーンを装着すると、センターデフを制御するコンピューターが誤動作を起こし、適切な駆動力配分が行われなくなる恐れがあります。”とあります。

フォレスターのAWDシステムは、センターに電子制御カップリングを搭載したAT用のACT-4(アクティブトルクスプリット)です。


ACT-4を搭載したフォレスター

ACT-4は、一般走行では前後の重量比と同じ60:40の駆動力配分として、路面や走行状態に応じて100:0の前輪駆動から50:50の4輪駆動まで可変します。


スバルのアクティブトルクスプリットAWD(ACT-4)

ですので、常に駆動の掛かる前輪にチェーンを巻くのは当然の事でしょう。

ですがその(前輪にチェーンを巻いた)場合、前輪に対して後輪は間違いなく常時滑り気味になりますので、センターデフを制御するコンピューターは、滑っていない前輪にドンドン駆動を掛けます。

このため、フルタイム4WDでありながら、いつの間にかほぼFFで雪道を走っている可能性もあるのです。

それに対して、4輪にチェーンを巻いた場合、後輪も前輪と一緒になって回りますので、一般走行と同じ前後60:40の駆動力配分のAWDで走行できるのです。

ですので、4輪にチェーンを巻いても、(センターデフを制御するコンピューターは誤動作しませんし)間違いなく安全サイドになるのです。

ただし一つ気になる事があります。

後輪のタイヤとホイールハウスのクリアランスが狭くて、本当にチェーンを巻いたらいけない可能性もゼロではありません。(限りなくゼロでしょうが)

という訳で、早速スバルさんに訊いてみる事にしました。

どんな回答が届くかお楽しみに。

おっと忘れていました。

ちなみスバルのAWDには、高出力対応のAT車用としてVTD(バリアブルトルクディストリビューション)と呼ばれるAWDシステムがあるのですが、その取扱説明書には後輪にはチェーンを巻くなとの記述はありません。

VTD-AWDを搭載したWRX S4(AT)の取扱説明書の抜粋(1-22頁)

こちらは複合遊星歯車(プラネタリーギヤ)式センターデフと電子制御LSD(油圧多板クラッチ)を搭載していますので、フォレスターのACT-4より更に複雑です。


スバルのバリアブル・トルク・ディストリビューション(VTD-AWD)

にも拘(かか)わらず、なぜ後輪にチェーンを巻いても良いのでしょうか?


フォレスターの後輪にチェーンを巻いたらダメ!

2018/12/13(木)

大変申し訳ございません。

先日スバルフォレスターの4輪にチェーンを巻いてはいけないというのは、大間違いだとクドクドと書かせて頂きました。

ところが、念のためSUBARUお客様センターに問い合わせした所、何と以下の様な回答を頂きました。

4輪すべてにタイヤチェーンを装着されますと、お車の故障の原因となる可能性がございます。

恐れ入りますが、フォレスターにタイヤチェーンを装着する際は、前輪にスバル純正のタイヤチェーンを装着いただきますようお願い申しあげます。

ここまで明確に言われるのですから、後輪にチェーンを巻いてはいけないのでしょう。

という訳で、先日の幣記事は間違いであった事を、深くお詫びするしかありません。

だからと言って、弊サイトがこれで納得した訳ではありません。

なぜ後輪にチェーンを巻いたらいけないのでしょう?

こちらの質問には、もし後輪に巻いたらいけないのだったらその理由を説明してほしい、とお願いしていたのですが、頂いた回答は以上の通りでした。

いつかその理由が知りたいものです。


フォレスターの後輪にチェーンを巻いたらダメの理由

2018/12/14(金)

分かりました。

昨日フォレスターの後輪にチェーンを巻いてはいけないというものの、その理由は不明とお知らせしましたが、本日スバルさんから、また返事を頂きました。(今日は”さん”付けです)

それによると、後輪にチェーンを巻いてはいけない理由は、やはりホイールハウス内のクリアランスが足りないためとの事です。

また先般お伝えしておりましたVTD-AWDを搭載したWRX S4(AT)においても、やはり後輪にはチェーンを巻いてはいけないそうです。


WRX S4オプション装着車

ちなみにWRX S4の取扱説明書の(先日お伝えしたのとは)別の頁に、後輪にはチェーンを巻いてはいけないとの記述もありました。

WRX S4の取扱説明書の抜粋(6-3頁)

ご存知の様に、現在スバルにおいては品質問題でゴタゴタしている最中なので、こんな問い合わせに時間を掛けてる余裕はなにのだろうな、と思っていたのですがさすが日本の一流企業です。

本サイトにおいて、スバルの好感度はこれで一気にアップしました。

それでという訳ではないのですが、下のモニュメントをご存知でしょうか?


スバルビルの地下部分にある新宿の目

西新宿の地下通り入り口にある、新宿の目です。

スバルビル解体に伴い、もしかしたら今後撤去されるかもしれませんので、もしご存知ない方は一度見ておく事をお勧めします。

通勤途中に見ていた頃は、気にも留めなかったのですが、こうやってみると感慨深いものがあります。

この前で写真を撮っておけば良かった。




フォレスターの後輪にチェーンを巻いたらダメの理由


関連記事

BMW i8の謎に迫る

スポーツカーの短所

S660の真実

ハスラーの短所



ご意見、ご感想等ありましたら是非こちらに。
Your response would be highly appreciated.





ホーム頁へ戻る

サイト紹介

クルマやバイクに関連する話を、論理的に且つ分かり易くお伝えする様に努力しています。

本紙独自の話が満載ですので、もし宜しければ珈琲でも飲みながらお楽しみ下さい 。

なお本サイトのPrivacy Policyはこちらです。

▼ 1. Torque and Horse Power
2. Automobile
3. Wheel Alignment
4. Tire
5. Bike
6. 4WD