走行中のトレーラーにクルマは乗れるのか
2020/09/30:発行
目次
1. はじめに
映画でこんなシーンをご覧になった事はありませんでしょうか。
主人公が乗るクルマが走行中の大型車のスロープを登って乗り込み、姿をくらます。
そんな事は実際に可能なのでしょうか?
これについては実際にやって見なければ何とも断言はできないものの、今回はそれが可能かどうかついて考えてみたいと思います。
2. 条件設定
それでは先ず、このシーンの条件を設定しておきます。
現実的な所で、トレーラーの速度は時速50kmとしておきましょう。
そしてトレーラーに乗り込むクルマは前輪駆動車(FF)で、トランスミッションはマニュアルの5速だとしておきましょう。
このクルマが、もし時速100kmでトレーラーに乗り込もうとしたら、さすがにスロープを一気に駆け上がってトレーラーの運転席に激突しそうな感じなので、ここはゆっくり且つ慎重にスロープに前輪を乗せたとします。
するとどんな事が起こるでしょうか?
3. 可能性
そうなると考えられる可能性は、以下の4つではないでしょうか?
①タイヤの回転が一気に遅くなって、エンストしてしまう。
②エンジンの回転数は若干落ちるものの、制御できるスピードでスロープを登り切ってしまう。
①スロープを一気に駆け上がってトレーラーの運転席にぶつかる。
④その他
これをお読みなる方は、どうなると思われるでしょうか?
4. 本書の考え
それでは、本書の考えをお伝えしたいと思います。
幣書の考えは、①~④までの全てが起こる可能性がある、です。
何だそれ、と怒られるかもしれませんが、そう考える理由を聞いて頂けますでしょうか。
クルマが4速で走っている場合
先ず、クルマが時速50kmを4速ギアを使って走っているとします。
そうなると、エンジンの回転数も低く(2000回転前後)、アクセルも軽く踏んだ状態ですので、このままアクセルを踏み込んでもなかなか加速できない状態なのは、何となく分かって頂けると思います。
もっと端的な例で言えば、時速50kmでも無理すれば5速ギアでも何とか走る事はできます。
ですがこの状態では、いくらアクセルを踏み込んでも(シフトダウンしないと)ノッキングが起こるだけで全く加速できないと共に、このままでは坂をも登れないのは、何方もご存知の事でしょう。
ですので、高速ギアを使っているという事は、タイヤに掛かるトルクが非常に小さいという事を意味しています。
となると、この状態で前輪がスロープに乗ったら、(アクセルを軽く踏んだ状態で)ギア4速でクルマを発進させる様なものですので、タイヤは一気に回転が遅くなり、何もしなければエンストしてしまう事になります。
クルマが2速で走っている場合
それでは次にギアを2速に入れて時速50kmで走行している場合を考えてみます。
その場合は、4速と比べてエンジンの回転数も速く(4000回転前後)、アクセルも踏み気味みすので、タイヤに掛かるトルクも大きくなります。
ですので、この状態で前輪がスロープに乗ったら、多少エンジンの回転数は落ちるでしょうが、それでもスロープを一気に登り切り、ブレーキを踏まないとトレーラーの運転席にぶつかる事になるかもしれません。
クルマが3速で走っている場合
2速と4速の場合が分かれば、3速はその中間です。
当然ながらエンジンの回転数は2速より落ちるものの、適度なスピードでスロープを登り切ってくれるかもしれません。
その他の場合
今までは、いきなりタイヤがスロープに乗り上げるシーンから見てきましたが、当然ながらいきなりタイヤが地面からスロープに飛び乗る事はできませんので、タイヤが地面とスロープの両方に接触している瞬間もあります。
タイヤが地面とスロープの両方に接触する瞬間がある
その場合、タイヤが少しでもスロープに接触すると、タイヤの回転抵抗が増えてエンジンの回転数が落ちます。
すると当然ながらクルマのスピードが落ちるので、優しくそっとスロープに乗ろうとすると、永遠にスロープに乗れない事も考えられます。
当然ながらその場合は、タイヤがスロープに接触してエンジンの回転数が落ちたら、更にアクセルを踏んでスロープに乗る必要があります。
5. まとめ
いかがでしたでしょうか。
まとめとしましては、走行中のトレーラーに走行中の車が乗る場合、クルマのギアや運転の仕方により、一気にスロープを登ったり、スロープにすら登れないといった状態が発生する、というのが本書の結論です。
この推論が正しいかどうかは実際にやってみるしかないのですが、似た様な疑問をお持ちの方の参考になれば幸いです。