試乗記を批評しながらBMW i8の謎に迫る
(試乗した事が無い奴に何が分かる vs お前が試乗して何が分かる)

Issued on Jan. 14, 2015
Revised on Mar. 13, 2015

目次




はじめに


BMW i8の販売が海外で始った様です。

ネットに試乗記が載っており、早速読んでみました。



実は昨年の4月にBMW i8について以下の記事を書いた事があり、試乗記を読めば少しでもその真実に迫ることができるかなと思ったからです。

BMWi8の不思議な構成
2013/4/12(金)

早速BMWのi8の記事を読んだのですが、奇妙な事に気が付きました。

 
    

炭素繊維ボディー採用に伴うシャーシ構造は良いとして、ハイブリッドカーでありながら、何故3気筒の1500ccエンジンを搭載したのでしょうか?

モーターによって低速トルクは十分補えるので、理論上からすればむしろ多気筒の高回転エンジンを搭載すべきではないでしょうか。

またなぜモーターが前輪を駆動し、エンジンが後輪を駆動すのでしょうか?

加速時には当然リアに荷重が掛りますので、トルクのあるモータで後輪を駆動すべきです。
さらに前後荷重が50:50にも引っ掛かります。

スポーツカーと言えども、走行時の殆どは直進の等速運動(慣性運動に近い)ですので、むしろフロントを重くして直進安定性を良くするべきです。

にも関わらず何故50:50にこだわったのでしょうか?

今後の評判が気になる所です。

ところが、たまたま読んだその試乗記の内容は、余りに的外れで、勉強不足で、意味不明な記事に少なからず憤りを覚えました。

何故そう感じたのかを、ここでストレートに述べてみたいと思います。

当該車に乗ったことはおろか見た事もない本書が、試乗記を批評しながらBMW i8の謎に迫る。

かなり無謀な挑戦ですが、どちらがより的確で理論的な記事か、読者の判断に委ねたいと思います。

題して”試乗した事が無い奴に何が分かる VS お前が試乗して何が分かる”です。

なお以下は青字が試乗記の原文(引用)で、黒字が本書の批評内容です。




1. 概要(レクサスLS以上の2m近くもある横幅はなぜ)


BMW i8 インプレが到着。走りも技術も近未来
2014.5.20レポート:五味 康隆 / 写真:BMWジャパン

【これ以上目立つモデルはない!】

ド派手なクルマ、スーパーカーとして人目を引くクルマ、今まで様々なクルマに触れてきたが、中でもこのモデルは歴代No1を競うほど目立つしカッコ良い。持続可能なクルマ社会を目指してBMWが立ち上げた次世代車ブランド「i」のフラッグシップモデル「BMW i8」のことだ。

御忍びでクルマを使いたい人や、行動がバレたくない(?)人は間違っても選んではいけない。


多分私だけではないと思うのですが、もうこの時点で何おか言わんやです。

何で目立ちたくない人が、この様なクルマに乗るのでしょうか?

本題とは全く関係ないのですが、この先が思いやられる出だしです。

映画の為につくられたスペシャルモデルのような独創的なデザインは、生で見ても1297mmの極低の全高に1942mmの極広なプロポーションが異様で、“我ここにあり”と強く自己主張しているからだ。

レポータが極低と呼ぶ1297mmの全高ですが、マツダのロードスターで1255mm、トヨタ86でも1285mmですので、極低と呼ぶほどの低さではありません。

この時点で既に、このレポーターは殆ど下調べをしないで見たままでレポートしている事が伺えます。

ただし全幅(1942mm)については、トヨタ86で1775mm、レクサスの最上級車であるLSでさえも1875mm、ランドクルーザがようやく1970mmですので、確かに極端に幅広です。

 
i8 (幅:1942mm)          LS (幅:1875mm)

この幅広については、以前見た仕様書のデータからすっかり見落としていましたので、試乗記の勝利だと言えるでしょう。

ただしこの理由は一切述べられていませんが、恐らく(デザインやコーナリング特性の向上ではなく)カーボンフレームを採用したが故に強度を確保するための分厚いサイドシルが必要な事とキャビン中央部に設けられた電池室用のスペースに起因しているのでしょう。

   
     分厚いサイドシル                キャビン中央部の電池室

とすると、電池室の置き場はともかく、今から5年前のコンセプトモデル発表時点で、BMWはカーボンフレームの強度計算を終わらせていた事になります。

さすがゲルマン魂。脱帽です。

なおこの幅広については、このあと更に述べる事になります。

試乗したのはカリフォルニアの、日本で言えば湘南や鎌倉に相当するサンタモニカやマリブだ。

高級ブティックなどが軒を連ねるビバリーヒルズのロデオドライブなど、時間が許す限り様々な場所を走ったが、人目がウザい、と思うほど見られる。走行中は並走して写真を撮る人もいるし、駐車していると勝手にクルマの前でポーズを決めて撮影する人がいる。

日本人の気質では、そこまで大胆な行動を取る人は少ないだろうが、何にせよ目立つのは覚悟しておいた方がいい。


これは、かなり滑稽な話です。

クルマの試乗でミーハーな観光地に行ったのは、 i8を見せびらかしたくて行ったのでしょうから、視線を集めてこのレポーターはさもご満悦だったのではないでしょうか?

   
   Santa Monica            Malibu            Rodeo DR

それを人目がウザいとは、全くもって頂けないコメントです。

人目を避けて直線路を楽しみたいのならば、砂漠の中をベイエリアへ向かう5号線もしくはラスベガスへ向かう15号線、カーブを楽しみたいのならば海岸線のルート101をどんどん北上すれば良いのです。


ロスからサンフランに向かう場合は、運転の楽な5号線をお勧めします

おまけに自分のクルマでもないのに、勝手に写真を撮られたとのコメントも変な話です。

そもそもこのクルマに試乗できたのは、クライアントであるBMWの広報活動の一環なのですから、むしろ積極的に写真を撮って貰う様に務めるのが下請業者の仕事の筈です。

どうこのレポーターは、自分の立場を全く分かっていない様に思われます。

ではなぜBMWの中で、このモデルはここまで強い個性を持って商品化できたのか?




試乗記を批評しながらBMW i8の謎に迫る




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