小学生でも分かるトルクと馬力の話
(本当に早いクルマとは?)

2014/06: 初版
2016/05: 改訂

第11章:サスペンション



11-4. 接地性/追随性は日本語ではない


前節を読んでも、まだタイヤの接地性/追随性についてご納得頂けない方に、トドメのお話をしましょう。

実は、”接地性”も”追随性”も、日本語ではないのです。
(なお当然ながらこれに相当する英語もありません)

そんなバカなと思われるかもしれませんが、どの国語辞典(広辞苑、大辞林等)を調べても、或いはJISのハンドブックを調べても、どこにも”接地性”あるいは”追随性”なる単語は載っていないのです。

すなわち、両者とも一般的に認められた日本語ではないのです。

また辞書にもJISにも(もちろんISOにも)載っていないという事は、共通する言葉の定義が無いのですから、その良し悪しを定量的に(数字で比較して)表す事も、試験する事も、ましてや複数の人間が議論する事さえできません。

では一体誰が使っているかと言えば、日本の一部の自動車ジャーナリストと呼ばれる偉い方々が、定義も決めずに勝手に使っているのです。

そんな事はない、サスペンションの設計者は絶対に気にしている筈だ、と思われませんか?

とんでもない。

サスペンションの設計者は、日本語でも(英語でも)ない”タイヤの接地性”や”追随性”など一切考えないで設計しています。

なぜならば、本来サスペンションとは、地面(タイヤ)からの衝撃を車体に伝えない(もしくは和らげる)ためのものだからです。


サスペンションとは、悪路に追随するためではなく、
悪路からの衝撃を吸収するために付いている

多少専門的に謂えば、設計者は色々な地面からの衝撃(入力)に対して、いかにして車体を快適(出力)にするかを考えているのであって、地面の起伏に伴うタイヤ間の挙動は(制御できない)入力でしかないのです。

すなわち下の図の様に、出力が入力を制御する事など決してあり得ないのです。

     

この入力と出力の関係をプレーヤーとスピーカーを例にすれば、プレーヤーの信号が入力で出力がスピーカーから出る音になります。


入力から出力への向きは決して変わらない

ですので、プレーヤーを回せば音が出ますが、スピーカーに音を加えてもプレーヤーに信号を送る事は決してできないという事で分かって頂けないでしょうか。

にも関わらず、”タイヤの接地性”や”追随性”という考えは、車体の振動で路面からの振動を制御しようとする、全く以って非論理的な思考なのです。

当然ながら、どんなクルマであっても悪路を高速で走行すば、車輪のいくつかは地面に強く当たったり、浮いたりします。

これによってサスペンションとタイヤは、その路面からの衝撃エネルギーを熱に変換する、もしくは時間的に分散する事で、極力車体を水平(前後の状態と同じ)にし且つスパイクノイズ(瞬間的な衝撃)を抑える様に設計されているのです。

多少過激に述べるのをお許し頂けるのでしたら、”接地性”や”追随性”と言っているのは、サスペンションはおろか入力と出力のロジックを全く知らない無知な方々だと言わざるを得ません。

アーすっきりした。




11-4. 接地性/追随性は日本語ではない/第11章: サスペンション





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