2018年1Q新着情報


Vehicle Cafeteriaの2019年1Qの新着情報をお届けします。

記事にしてない情報もありますので、これだけ読んでも楽しめると思います。

”気筒数とトルクの関係”に関するお詫び

2018/2/26(月)
大変申し訳ございません。

とうとうやってしまいました。

常日頃、フェイク記事だけは決して書かない様にと心掛けていたつもりなのですが、弊サイトもとうとうやってしまいました。

既にお読み頂いた方もいらっしゃるかもせいれませんが、”気筒数とトルクの関係”の記事において、ロングストロークのエンジンの方がトルクが大きくなるのは、クランクを長くできるからだと書いてしまいました。


ロングストロークにすればクランクを長くできる

当然ながら、ロングストロークになればシリンダー径も細くなるのでクランクを押す力も弱まり、トルク自体は変わりません。

このため多方面の方よりお叱りのメールを頂いたのですが、記事を直そうにも、ではなぜロングストロークだとトルクがアップするか本当の理由が分かりません。

実際ネットで検索しても、以下の様に何だか分かった様な分からない様な事が書かれています。

燃焼速度は、エンジン回転数が低いほど、低くなります。
このため、ロングストローク化して、吸入バルブからの吸気速度を高めてやると、燃焼速度も、吸気速度にほぼ比例して高くなります。
このためロングストロークのエンジンは、低回転域でも、高いトルクが発生するわけです。

また頂いたメールも内容が間違っているとの指摘はあるものの、トルクがアップする理由までは書いて頂いていない事からすると、どうも本件については分かり易くて明確な説明は存在していない様な感じです。

ならばと思い、更に悩みに悩み続けたのですが、それでもやっぱり分かりません。

このためお詫びと共に当該記事を削除しようとしていた矢先、(とある大御所のアドバイスにより)ようやくそれらしい解を見つけました。

既に当該記事をお読み頂いた方には深くお詫びすると共に、もし宜しければ改訂版を覗いてみて頂ければ幸甚です。

災い転じて福となすではありませんが、結構分かり易い内容だと思います。


0-100km/hタイムの罠 IV

2018/2/22(木)

トルクウェイトレシオはアテンザ XDの方が断然優れているのに、なぜ0-100km/hタイムではミニクーパーの方が速いのか?


トルクウェイトレシオ(TWR)は車重をエンジンの最大トルクで割っただけのものですので、決して万能なものではありませんが、TWRを重要視する本書としてはこの逆転はどうしても許せません。

という訳で、本書では(多少意地になって)この謎解きに挑戦してきました。

今まで分かった事は、ギア比を上げたり、タイヤの径を小さくして、車軸に掛かるトルクを大きくしてやれば、当然ながら加速が良くなる事です。(詳細はこちら

故にマニュアル車であれば、アテンザXDとミニクーパーの0-100km/hタイムはほぼ同じ値になるのはしぶしぶ納得できます。

変速機/車種 アテンザ XD (6AT) ミニクーパー (6AT)
6MT 7.8秒 7.9秒
6AT 8.4秒 7.8秒
アテンザとミニクーパーの0-100km/hタイム

ところが、AT車になるとミニクーパーの方が依然0.6秒も早いのです。

一体なぜ?

というのが、最後の疑問として残っていました。

それに関して新たに分かった事がありますので、ここでご紹介したいと思います。

それが下のグラフです。


Cセグメントのクルマ(いずれもAT)5車における加速試験結果

これは、月間自家用車の2017年1月号に記載されたCセグメントのクルマ(いずれもAT)の加速試験結果です。

グラフの色が見難いかもしれませんが、スタート直後の出だしが一番遅いのがメルセデスのA180(緑線)で、次に遅いのがアクセラ2.2D(青線)です。


出だしの最も遅かったメルセデスベンツのA180

このアクセラ2.2Dを、それより速い3車(ゴルフGTE、オーリスHV、インプレッサ2.0)のグループと比べると、アクセラ2.2Dの出だしはそれらより約0.4秒(グラフの1目盛が0.35秒)ほど遅くなっています。


2番目に出だしの遅かったアクセラ2.2D

何故アクセラ2.2Dは、他車より0.4秒も出だしが遅れるのでしょう?

考えられるのは、この5車の内アクセラだけが唯一ディーゼルエンジンを搭載している事ですが、よもやアクセルON直後にグロープラグを点火させてエンジンを暖める訳がありません。

むしろガソリンエンジンは混合気をシリンダーの噴射するのに対して、ディーゼルエンジンは燃料を直接シリンダーに噴射しますので、アクセルON時のレスポンスはガソリンエンジンよりも上かもしれません。

だとすると、この遅れはATの動力伝達遅延によるものと考えるのが妥当ではないでしょうか?

そう思って調べてみると、アテンザXDのAT車はこのアクセラ2.2Dと同じトランスミッションを搭載しています。

マツダのオートマチックトランスミッション

おまけにアテンザXDはアクセラ2.2Dより100kg近くも重いのです。

となると、アテンザXDとミニクーパーの両AT車における速さの違いは、このトランスミッションの性能差だと考えて良いのではないでしょうか。

何故なら、

①アテンザXDとミニクーパーのMT車の加速はほぼ同じであるのに関わらず、AT車はミニクーパーの方が速い。

②アテンザXDより100kg近くも軽く、同じエンジンと同じATを搭載するアクセラ2.2Dは、発進の時点で他車より0.4秒も遅い。

③ミニクーパーのAT車はMT車よりも早い事から考えて、このATの性能は非常に高い。

からです。

辻褄合わせと言われそうですが、両者の差の0.6秒の内、0.4秒がアテンザXDのATのネガティブ要因で、0.2秒がミニクーパーのATのポジティブ要因と言えるかもしれません。

もしかしたら、だったらアテンザXDやアクセラ2.2DのATをもっと応答性の優れた物にすれば良いと思われるかもしれませんが、エンジンからダイレクトに42.8kgf・mもの大トルクを受けるトランスミッションですので、そう簡単にはいかないのかもしれません。

またもう一つ付け加えさせて頂くと、月刊自家用車による加速度試験です。


十年一日のごとく、胸のすく加速とか、怒涛の様な加速とか、暴力的な加速とか、絹の様に滑らかな加速とかいう抽象的な言葉ではなく、数値で加速性能を示してくれる自動車雑誌が表れた事は画期的です。

なにしろ本記事を書いていくうちに、どうも両者の差はATの性能の違いではないかと思い始めてはいたのですが、そうだと言い切るまでの確証はありませんでした。

もしこのデータが無ければ、本件は永遠に藪(やぶ)の中だったかもしれません。

長くなってしまいましたが、最後にもう一つ。

このミニクーパーのATですが、先ほどお伝えした様にDTC(デュアルクラッチトランスミッション)でもないにも関わらず、なぜこんなに優れているのでしょう。


アイシン精機製ミニクーパー用6速AT

ミニクーパーのATを供給しているアイシン精機様、是非その理由を教えて下さい。


軽トラと言う名の2シーターMRスポーツカー

2018/1/25(木)

現在市販されている軽自動車で、2シーターのミッドシップエンジン搭載スポーツカーと言えば、何方もホンダのS660を思い浮かべる事でしょう。


2シーターのミッドシップエンジン搭載スポーツカーS660

ところで、(話が飛んでしまう様に思われるかもしれませんが)軽トラックをご存じでしょうか。


軽トラと言う名の2シーターMRスポーツカー

地方に行けば、農村や漁村のいたる所で走り回っているアレです。


日本人なら誰でも知っている、地方のロジスティクスを支える軽トラック

ですが、この事をご存じの方は殆どいらっしゃらないでしょう。

この軽トラも、運転するのがとてつもなく楽しい、2シーターのミッドシップスポーツカーである事を

なにしろ今どき珍しい後輪駆動で、おまけにエンジンはフロント搭載と思いきや、実はシートの下でほぼミッドシップに搭載されているのです。


ハイゼットのミッドシップエンジンレイアウト

ですので回頭性は抜群で、車重も軽くトルク重視のエンジンなので、荷物を積載していなければ、簡単に後輪を滑らせる事もできます。

更にホンダのアクティーに至っては、ほとんどRR(リアエンジン・リアドライブ)に近い配置ですので、加速もブレーキ性能も一級品です。


ホンダ・アクティーのRRに近いエンジンレイアウト

またマニュアルシフトは低速重視のクロスレシオですので、今では死後になったダブルクラッチを使った妙技を存分に楽しめます。

さらに、構造がシンプルなので色々手を加える事も可能ですし、ABSだのトラクションコントロールと言った電子付加装置も付いていないので、クルマ本来の運転特性を一から学べます。

早い話が、21世紀版の初代VWビートルの様な存在です。


素人でも手を加えられた初代VWビートル

おまけに、(S660と違って)いざとなったら友人の引っ越しにも大活躍してくれます。

悪い事は言いません。

もし運転の楽しい安価なFR車を探しているのでしたら、中古の軽トラが断然お勧めです。

ただし強いて弱点を言えば、(うるさい、熱い、狭いを除けば)ドリフト走行には後輪にLSDを装着する必要があるのと、喜んで助手席に乗ってくれる人がいない事と、自慢話をするための同窓会には乗っていけない事ぐらいでしょうか。


ドリフトセンターデフ

2018/1/24(水)

本書の読者より以下のお便りを頂きました。

アルトワークス(HB21S)でドリフトセンターデフなる物が売っています。



それを装着し、前後機械式LSDを入れたら走行性能レベルはいくつと評価しますか?

面白そうなので調べてみたのですが、びっくりです。

ご所望は3代目のアルトワークスなのですが、取り敢えず現行の5代目アルトワークスで調べると以下の様なドリフトセンターデフなる物が売られていました。


どうやら形状からして、アルトワークスの4WDに付いているビスカスカップリング(センターデフ)と交換して、エンジンシャフトと後輪を直結してしまう物の様です。


4アルトワークスの4WDシステム

そのままでは、タイトコーナーでブレーキング現象が発生して、舗装路ではまとめもに走れないので、更にフロントのドライブシャフトを外して完全にFR化してしまう様です。

お尋ね頂いている走行性能レベルが雪道の場合だとすると、後輪に機械式LSDを装着して、レベル1.5程度でしょうか。

なお商品名はドリフトセンターデフですが、本製品にデフ(差動)機能は全くないので、正確にはドリフトセンター直結金具と呼ぶべきかもしれません。

ところで、そこまでしてドリフト走行を練習できる軽自動車がほしいのでしたら、お勧めのクルマがあります。

それが上でご紹介する軽トラです。




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