誰も言わなかったスポーツカーの短所
(知っておいて損のないワースト10)
2014/06: 初版
2019/07: 改定
2019/07: 改定
目次
5位:乗り心地が悪い
これも覚悟の上でしょうが、乗り心地は数あるクルマの中で日本のスポーツカーが最悪かもしれません。
なにしろサスペンションが固い(乗り心地が悪い)事こそがスポーツカーの証だという偏った認識が蔓延しているせいか、86もその偏った希望に沿って設計されています。
実際ネット上に86の動画が多数ありますので、邪魔な解説(音声)を消してじっくり見て頂ければと思います。
車内の衝撃を正確に伝えるビデオカメラ(5分30秒辺り)
特に車内を撮影した動画を見ると、高速道路の継ぎ目や一般道のちょっとしたウネリでも映像が瞬間的にブレるのが見てとれます。
その衝撃が走行中、常に襲ってくるのです。
ドライバーはその認識なのでまだ良いのですが、助手席のパッセンジャーはいい迷惑です。
とにかくスポーツカーの助手席に乗るときは、少々オーバーかもしれませんが時化(しけ)のときに高速船に乗るのと同様に覚悟を決める必要があります。
時化の高速船
さらにそのドライバーが、スポーツカーとは急ハンドル/急ブレーキ/急加速しなければいけないものだと錯覚していたらもう最悪です。
同乗したパッセンジャーは、ひたすらビニール袋を握りしめるか、頻繁にトイレ休憩を取るかの選択を迫られます。
乗り心地の悪いクルマで荒い運転をされると同乗者は最悪
助手席の彼女が、やっぱりこの人は止めておこうと思うのは、こんな瞬間なのかもしれません。
また年配ドライバーも一般道を長距離走った後は、路面からの衝撃による脊髄のダメージを補うために、1日以上休みを取った方が良いかもしれません。(ただしその変調を感じるのは、それから数日後かもしれませんが)
ついでにもう一つお伝えしておきましょう。
パッセンジャーとドライバー以外にももう一つ、大きな被害を蒙(こうむ)っているものがあるのをご存じでしょうか?
すっかり忘れられていますが、車両自体もかなりのダメージを受けているのです。
ガタが出やすい86のメインフレーム
よく中古のスポーツカーは、乗り方が荒くてガタがきている物が多いので、注意した方が良いと言われます。
これは半分正しいのですが、半分は間違いです。
確かにスポーツカーは一般のクルマと比べて同じ走行距離ならば程度の悪い物が多く、10万kmを超えて程度の良いスポーツカーにお目に掛るチャンスは滅多にありません。
この理由は運転が荒いからだけではなく、普通に走っているだけでもサスペンションが固いため車両自体にも過酷な衝撃が加わるためです。
少々オーバーな言い方をすれば、乗り心地の悪いスポーツカーは毎日路面と衝突しながら走っている様なものなのです。
さて話がどんどん逸れてしまいますが、スポーツカーに対してタクシーは20万km以上も平気で走ります。
何を言いたいか薄々気が付かれたかもしれませんが、この理由はメンテがしっかりしているとか、プロのドライバーが運転しているからではなく、実はサスペンションが一般車よりも柔らかいので車両自体へのダメージが少ないからなのです。
いずれにしろ、パッセンジャーにもドライバーにも車両にも相応のダメージを与える程サスペンションを固くして、一般道でどれだけのメリットがあるのか、良く考える時期にきているのではないでしょうか?
4位:荷物が載らない
よもやスポーツカーで引っ越しの手伝いに行く方はいないでしょが、日常生活において大きな荷物を積む機会は意外にあるものです。
うっかり長尺物やかさばる物を購入して、スポーツカーのトランクを半分開けたまま走るのは、結構恥ずかしいものです。
なお86の場合、狭いながらも後席があるのでまだ良いのですが、2シータスポーツカーそれもミッドシップカーの場合、さらに油断は禁物です。
ミッドシップのトヨタMR-2
実際にあった話ですが、新婚旅行で颯爽と2シータスポーツカーで飛行場に向かい、戻ってきたらお土産で増えた荷物を乗せきれず、彼女は止むなく電車で帰ったという笑えない話もあります。
写真のMR-2の場合、それでもフロントとリアに小さいながらもトランクがあったのですが、同じくミッドシップ2シーターのS660に至ってはもう絶望的です。
折り畳み式の屋根を格納したら実質荷室ゼロになるホンダS660
うっかり助手席に彼女でも乗せようものなら、荷物は全て膝の上に乗せておくしかありません。
3位:雪道は走れない
生憎データはありませんが、恐らく雪国での86の登録台数は限りなく少ないと予想されます。
なぜならば、駆動輪の荷重が最も軽いFR車(フロントエンジンの後輪駆動車)が雪道で最も滑り易い事を、雪国の方は良くご存じだからです。
実際FF車(フロントエンジンの前輪駆動車)であれば簡単に登れる坂道でも、FR車は簡単にスタックしてします。
まして幅の広いタイヤでも履いていたら、平地でも簡単にスタックしてしまいますし、最低地上高の低さも災いして、雪の積もった駐車場から道路に出る事すらできません。
なおどうしても雪の日に外出しなければいけない場合は、後輪にチェーンを巻くのは当然ですが、駆動輪に荷重を掛けるため、ガソリンは満タンにし、更に後席になるべく重い人に乗って貰いましょう。(ただでさえ狭い後席に長時間乗ってくれる殊勝な方が居ればですが)
そうすれば万一雪道でスタックしても、寒いなか後ろから押して貰う事もできますし、止むなくタクシーで帰る際も割り勘にできます。
もし雪道に強いクルマをお探しでしたら、こちらをどうぞ。
そして次は、いよいよ2位と1位です。
2位は予想が付くかもしれませんが、1位は恐らく全く予想外の結末だと思います。
是非予想してみて下さい。