ロジックで迫る雪道に強いクルマとは

Issued on Jan. 14, 2015

目次



3. 雪道に弱いクルマ


3-1. 概要

今までは雪道に強いクルマを考えてみましたので、今度は雪道に弱いクルマを考えてみたいと思います。

どんなクルマを想像されますでしょうか?

既に駆動形式とエンジンレイアウトにおいてはFR車が一番弱い結果となりましたので、それ以外の要素を考えてみたいと思います。

いつかどこかで見た様なクルマが浮かび上がってきます。


3-2. 荷重

先ずは荷重ですが、雪道の走行ではクルマは軽ければ軽いほど、走破性は低下します。

実際スエーデン製なので雪に強いと思われていたボルボですが、(今でこそFFや4WDが主流ですが)FR時代の車両は冬になるとトランクに鉄板を入れて走っていたほどです。


冬になるとトランクに鉄板を積んでいたFR時代のボルボ

ですので、もしFR車の後輪が滑って坂道を登れない場合は、後席に人が乗ったりトランクに重い荷物を乗せれば、走破性は一気に高まります。

また通常ガソリンタンクは後部座席の下にありますので、ガソリンを満タンにすれば大人一人分の荷重が後輪に掛ります。

雪山の手前でガソリンを満タンにするのは、ガス欠防止と走破性アップの2点において有効です。


3-3. タイヤのサイズと空気圧

雪道に強いタイヤと言えば、何方もがスノータイヤ(スタッドレスタイヤ)を思い浮かべるでしょうし、雪道に弱いタイヤと言えば、当然夏タイヤを思い浮かべる事でしょう。

では、細いタイヤと太いタイヤでしたら、どちらが雪道に強いでしょうか?

       
         細いタイヤ               太いタイヤ

恐らくかなりの方が太い方が良いと思われるかもしれませんが、実は細いタイヤの方が雪道には断然強いのです。

この理由は、スキーの板とストックを思い浮かべて貰えると分かり易いと思います。


      
         スキーの板              ストック

雪との接触面積が大きなスキー板は良く滑りますし、接触面積の少ないストックは滑りません。

これをタイヤに置き換えると、タイヤが細くなると、単位面積当たりの接地荷重が増え、これによりタイヤが雪に食い込むと考えれば、分かり易いかもしれません。

また空気圧が少ないとタイヤの接地面が増えますので、同様の理由で滑り易くなります。

空気圧が少ないと、雪道だけでなく雨で路面が濡れている場合も滑り易くなりますので、タイヤを適正圧にする事は晴天時以上に大切です。

という訳で、信じられないかもしれませんが、標準タイヤよりずっと細くて空気圧の高いテンパータイヤの方が、雪道の走破性は高いのです。


細くて空気圧の高いテンパータイヤの方が雪道の走破性は高い




3-4. 最低地上高

これもわざわざ項目を追加してまで説明する必要は無いかもしれませんが、車高(最低地上高)が低い方が当然ながら雪道では不利です。

という訳で、極端に車高を落とした車両は、雪道を走る以前に車庫から車道にさえ出れないので、雪の日は非常に”安全”な車両と言えます。

またもう一つ忘れやすい話をしておきますと、積載重量が大きくなると、当然ながら車高が低くなる事を頭の片隅に置いておいた方が良いでしょう。

ですので、新雪が高く積もったガレージ前は一人乗車で車高を高くして後ろから押して貰い、それをクリアしたら多人数で除雪路を行くのが良いかもしれません。


  
3-5. これが雪道に弱いクルマだ

それでは、上記した項目を網羅した雪道に弱いクルマをご紹介しましょう。

以下の様なクルマです。

FR車+夏タイヤ+乗車1名+トランク空+ガソリン少々+幅広タイヤ+シャコタン


雪道にめっぽう弱いクルマ

この組み合わせでしたら、ちょっとした雪でも滑って直ぐに動けなくなりますので、もし走行中でしたらチェーンを購入して装着するか、通行の邪魔にならない所にクルマを駐車して、電車かタクシーで帰る事をお勧めします。

なおここではトヨタ86を例にしていますが、FRであればどれも同じです。

またここで一言付け加えておきますと、例えFR車+夏タイヤの組み合わせであっても、以下の様な組み合わせでしたら、多少の雪でも十分帰ってこられます。

フル乗車+トランク満載+ガソリン満タン+標準タイヤ幅

言いたい事は、正確な知識さえあればFRであっても雪道を走行する事は可能という事です。

さらにこれに後述しますLSDが装着されていれば、信号待ちの再発進も心配する必要は無くなります。

ただし、さすがに急な坂道はチェーン無しでは登れませんのでご注意を。




3. 雪道に弱いクルマ/ロジックで迫る、雪道に強いクルマとは





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