ハスラーファンは決して読んではいけない
誰も書かなかったハスラーの欠点

2015/12/15 (火):発行
2016/2/10(金):追記

目次



3位:アイドリングストップ機構が最悪


そして3番目は、アイドリングストップの出来の悪さです。

とにかくひどいの一言です。

いくつか例を挙げてみましょう。

①ブレーキを踏み続けなければいけない

赤信号でブレーキを踏んで止まると、アイドリングストップになります。

ここまでは良いのですが、ブレーキを少しでも緩めると、エンジンが掛かってしまうのです。

ですので、信号が青になるまでアイドリングストップを維持するには、踏んだときと同じ力でひたすらブレーキを踏み続けていなければいけないのです。

これは結構しんどい事で、停止時にうっかり強めにブレーキを踏んで止まろうものなら、数十秒間その力を持続しなければならないため、最後には太ももがプルプル震えるほどです。

アイドリングストップ状態を維持するために、何が楽しくて信号待ちの度に太もものストレッチをやらなくてはいけないのでしょう。

だったらと思い、サイドブレーキを引いてからブレーキから足を離してもエンジンが掛かってしまいます。

なぜサイドブレーキを引いてもエンジンが掛かってしまうのでしょうか!?

どなたも経験があると思いますが、サイドブレーキを引くという事は、フットブレーキ以上にその停止が長引くとドライバーが判断したからなのです。

そんな時こそエンジンを止めたいにも関わらず、無慈悲にエンジンは始動するのです。

この仕様を決めたのは、一体どんな思考をお持ちの方なのでしょうか?

おまけに、ブレーキを踏んでいても、ギアをニュートラルに入れると、それだけでエンジンが掛かってしまいます。

もう今世紀最悪の制御プログラムです。


②止まる気が無くてもエンジンが止まる

アイドリングストップを維持するのも大変ですが、止まる気がなくてもアイドリングストップになるのもかなりのストレスです。



上図の様にスズキのアイドリングストップは、ブレーキを踏みながら減速すると、13km/h以下でアイドリングストップが働いてしまいます。

ですので、例えば狭い路地に差し掛かって、スピードを抑えると、エンジンが止まる。

バックしようとしてアクセルから足を離すと、エンジンが止まる。

左右を確認するためスピードをを抑えると、エンジンが止まる。

と、ストレスの連続です。

おまけにです。

もしブレーキを踏まずにゆっくり減速したら、たとえ13km/h以下になってもアイドリングストップは働かないのです。

ですので、前方の信号が赤のため、早くからアクセルを緩めゆっくり停止線で止まった場合、アイドリングストップは永遠に働かないのです。

本当に役立たずの制御です。

こんな事なら、ドライバーの意思でアイドリングストップできるボタンを付けてくれた方がよほどましです。




③再始動がぎくしゃく

さらに耐えられないのが、再始動時のぎくしゃく感です。


3気筒エンジンの内部

アイドリングストップ後のエンジン再始動は、当然ながら三つのピストンが上下に動き出しますので、それなりの振動が発生するのは、止むを得ないでしょう。

ですが、許せないのはその後です。

エンジンが始動すると回転数が上がり、一瞬クルマが前に進むのです。

通常のエンジン始動時は、クラッチはニュートラルで且つブレーキを踏んでいますので、決して前に進む事はありません。

しかしながら、アイドリングストップの始動の場合、ギアはドライブのままで、且つブレーキを離したときですので、この不愉快な発進を止める事はできないのです。

微塵も発進する気がないにも関わらず、短距離とはいえ発進するのは、安全面からかなり問題ではないでしょうか?

おまけに、その後に発進しようとアクセルを踏むと、一瞬遅れてから唐突に発進するのです。

これをもう少し分かり易く書くと以下の通りです。

アイドリングストップ→ブレーキから足を離す→再始動→一瞬前に進む→一旦停止→アクセルをそっと踏む→いきなり発進

これでギクシャクした感じが伝わりますでしょうか?

できる事なら滑らかに発進したいのに、どんなにアクセルを優しく踏んでも、首が後ろに揺れるほど、急に発進するのです。

スズキの品質保証部門は、よくこの挙動でOKにしたなと呆れてしまうほどです。

この点については、間違いなくダイハツの方が優れています。


アイドリングストップについてはミライースの方が断然完成度が高い

具体的には、先日ダイハツのミラーイースに乗る機会があったのですが、アイドリングストップ後の始動性については雲泥の差があります。

ついでなので、もっと言っておきましょう。

既にお伝えしました様に、跳ねるタイヤのお蔭で上下に振動して、高重心とスタビライザーのお蔭で左右に揺すられて、更にできの悪いアイドリングストップのお蔭で前後にも緩すられて、ハスラーに乗ると3次元の不快な振動が味わえるという訳です。

今流行の単語を使えば、3D不快振動体験車とでも呼べば良いのでしょうか。

かなり珍しいクルマなのは間違いありません。


④エンジンブレーキが不安定

もしかしたらアイドリングストップではなくエネチャージ側の問題かもしれませんが、ハスラーは明らかにエンジンブレーキが効きません。

具体的には、通常 (ハスラー以外のクルマ)でしたら、アクセルを離せば当然スピードが落ちる筈なのに、ハスラーのスピードの落ち方は明らかにその他のクルマより遅いのです。


特にハスラーの場合、減速時は発電機で積極的にバッテリーに充電しますので、回生ブレーキによってむしろ他車よりも減速効果は高いはずです。

にも関わらず、エンジンブレーキの効きが悪いのです。

ならばとATのシフトを1段下げても、通常ならグッとスピードが落ちるはずなのに、相変わらずのスピードで滑走を続けます。

更にもっと驚くのは、ブレーキを踏まずに自然に停止する直前には、アクセルを踏んでいないにも関わらず僅かにスピードを増す (加速する)事さえあるのです

ここまでくるともう絶句です。

スズキの品質保証部門は、この現象を認識しているのでしょうか?

生憎この原因を追究するには至りませんでしたが、恐らくエネチャージとアイドリングストップに対応するため、速度によってエンジン出力だけでなくCVTの制御も通常と微妙に変えているのでしょう。

推測ですが、停止直前に加速するのは、エンジンの出力が上がるのではなく、CVTのプーリが高速側に僅かに移動するためかもしれません。


CVTのプーリ

いずれにしろ、ハスラーはとにかくエンジンブレーキの効きが悪く、場合によっては加速する事もあると、是非覚えておいて頂ければと思います。

なおこれを回避する裏ワザがありますので、本節の最後にお伝えしたいと思います。


⑤アイドリングストップのOFFスイッチが最悪

そんなにできの悪いシステムだったらOFFすれば良いだろう、と思われるでしょう。

確かにその通りなのですが、ここにも何と4点もの問題があるのです。

先ずこのアイドリングストップを止めるスイッチですが、(後でまた述べる事になりますが)運転席の右膝辺りにあり、非常に見づらくて押し難い位置にあるのです。


誰にも押せない様に工夫されたスイッチ達(黄色枠部)

それも1個だけならブラインドタッチも可能かもしれませんが、6個も並んだ中の一つですので、運転中に押す事はほとんど不可能です。

とは言え、仮にこのスイッチが見えた所で、どれも非常に分かり難いアイコンですから、どれがアイドリングストップのOFFスイッチか即座に分かる人はいないでしょう。


一瞬見ても分からないアイドリングストップのOFFスイッチ

実際、上の図を見てどれがそのスイッチか分かりますでしょうか?

その答えは次で述べるとして、おまけにこのスイッチの押し心地の悪い事と言ったら完全に人間工学を無視しています。

通常押しボタンスイッチでしたら、押したらカチッと接触端子が切り替わった感触と音が聞こえる筈です。

ところがこのスイッチは、プラスチックの平らな板にバネが付いただけの様に、押しても切り替わったという感触も音も全くないまま奥の壁にぶつかるのです。

ですので、本当にOFFになったのかONになったのか、触覚と聴覚で認識できないのです。

ですので、初めてこのスイッチを押した人は、間違いなく何度も押してしまうか、さもなければ指が折れるほど強くこのスイッチを押す事になります。

嘘だと思ったら、このスイッチを押してみて下さい。

こんなに押し心地の悪いスイッチは、今までに見た(押した)事がありません。

さて、さすがにこれ以上このスイッチについて文句はないだろうと思われたら、外れです。

トドメの問題は、折角苦労してこのスイッチを押してアイドリングストップをOFFにしても、エンジンを切って再始動すると、またアイドリングストップがONしてしまうのです。

さすがにここまでくると、このスイッチには2度と手を出したくなくなる気持ちは分かって頂けるのではないでしょうか。


⑥アイドリングストップキャンセラー

このアイドリングストップを煩わしく思う方は少なからずいらっしゃる様で、巷では後付けのアイドリングストップキャンセラーなるアクセサリーがそれなりに売れているようです。

   
後付けのアイドリングストップキャンセラー

この回路を追加すれば、エンジンを切ってもアイドリングストップを止めたままにする事が可能です。

完成度の低いアイドリングストップのために余分なコストを負担させて、その機能を無効にするために、またまた追加の費用を負担させる。

これで一体誰が喜んで、誰が悲しんでいるのでしょうか?


ハスラーをエコカーと呼べるのか?

これで胸を張って、環境に優しいエコカーと呼べるのでしょうか?


⑦意味不明なAマーク

アイドリングストップに関する愚痴はまだまだ続きます。

突然ですが、下のスピードメータ左横に表示されたAマークの意味はご存じでしょうか?


走行中に点灯する意味不明のAマーク

このAマークですが、特に何もしていないのに走行中に気が付くといつの間にか点灯しているのです。

色がグリーンなので警告灯ではなさそうですが、走行中に一つだけ点灯しているとなるとかなり気になります。

おまけにその意味が分からないと尚更です。

もしかしたらアイドリングストップに関連する様な気もしないのではないのですが、アイドリングストップ(idling stop)の頭文字は”I”で”A”ではありません。

おまけにAの周りには回転を表す矢印まで付いていますので、何か回転する装置がAUTOになっている様ですが、思い当たるものはありません。

いつか取扱説明書を見て確認しようと思いながら、忘れてまた乗るとこのマークが表れて、またまた苛々させられます。

答えを言ってしまいますと、これこそがアイドリングストップが有効になっている表示です。

調べてみるとこのマークは、VWやBMWの様なヨーロッパ車にも使われているのですが、この場合Aの上下にきちんとSTARTとSTOPの文字があります。


BMWのアイドリングストップの表示

これですとかなり勘の悪い筆者でも、アイドリングストップであろう事に気が付きます。

念のために更に調べてみると、このマーク(Automatic idle start/stop)は2013年に国際規格(ISO 7000)に制定(標準化)されていました。


Automatic idle start/stopに関するISO 7000の記述

この補足説明を読むと、確かにマークの上と下にSTARTとSTOPの文字を付加しても良い事になっています。


Additional information :
追加情報

1) START/STOP may be added above or below the graphic.
1)START/STOPの文字をロゴの上、もしくは下に追加しても構わない。

2) START may be added above the graphic and STOP may be added below the graphic.
STARTの文字をロゴの上、STOPの文字をロゴの下に追加しても構わない。

3) STOP may be added above the graphic and START may be added below the graphic
STOPの文字をロゴの上、STARTの文字をロゴの下に追加しても構わない。
Automatic idle start/stopに関する補足説明

もう少し正確に言うと、マークの上か下に”START/STOP”、或いはマークの上に”STOP”、下に”START”でも良いそうです。

おまけに色の指定も無い様です。

いずれにしろ、ここまで表示してくれれば殆どの方がアイドリングストップの事だと気が付くでしょうが、スズキを初めとする国内メーカーはそこまでやる気はない様です。

恐らくこの文字を入れるコストは、原価で0.1円もしないでしょう。

やる気がない以上、どんなに安くてもやらないのでしょう。(しつこくてスミマセン)


⑧意味不明なエンジン自動再始動時のブザー
2017/7/22(土):追記
意味不明と言えば、これもそうでしょう。

たとえアイドリングストップ中でも、バッテリーの充電量が少なくなると、アイドリングストップが自動的に解除されてエンジンが掛かります。

それは良いとして、その4秒ほど前に、いきなりブザーが鳴るのです。

これは一体何のためのブザーなのでしょうか?

教えて下さいスズキさん。

4秒前にエンジンの始動を伝えて、ドライバーに何をしろと言うのでしょうか?

今ではエンジン再始動のブザーだと知っていますが、初めてブザーが鳴ったときは、その理由が分からず本当にオロオロしてしまいました。

もう一度聞きます。

なぜアイドリングストップが解除される4秒前に、ブザーを鳴らす必要があるのですか?

気の小さいドライバーに、何か恨みでもあるのでしょうか?


⑨アイドリングストップの簡易解除方法
2017/5/8(月):追記
大変お待たせしました。

既に一部の方はご存じかもしれませんが、ハスラーを初めとするアイドリングストップ機構搭載車において、簡単にアイドリングストップをキャンセルする方法をお教えしましょう。

それはシフトノブ横に付いているスポーツ(S)モードスイッチを押して、シフト制御をスポーツモードに切り替える方法です。


運転手から決して見えないスポーツモードスイッチ

そうすればこの煩わしい(忌まわしい)アイドリングストップは、完全に解除されます。

スポーツモードとは、それまでの燃費重視から、シフトアップのタイミングを遅らせて、速度優先にするモードです。

恐らく商品企画としては、スポーツモード中においてはアイドリングストップは煩わしいとユーザーが思うかもしれないと判断したのでしょう。

理由はともあれ、スポーツモードのスイッチは非常に押し易い位置にありますので、例えば細い路地に入って、エンジンが頻繁に止まる煩わしさを回避するには、非常に有効な手段です。

省燃費機構を解除するため、むしろ燃費が悪くなるスポーツモードを使わなければいけないとは、何とも皮肉な話です。

更にこのスポーツモードを使用すると、どうやらエネチャージのシステムも完全に解除される様で、前述したエンジンブレーキのギクシャクした感じもなくなります。

ですので、もし滑らかなエンジンブレーキを掛けたいのでしたら、スポーツモードに切り替える事をお勧めします。

なおこのスピードモードスイッチも運転手からは決して見えない位置にあり、なお且つエンジンを切るとまた解除されてしまいますが、押し易いので(他がひどいので)それくらいは大目に見てやろうという寛大な気になります。


さて、ハスラーの欠点はまだまだあるので、アイドリングストップの問題点はこれくらいにして、そろそろ次に行きたいと思います。

次は、背の高い人や、お腹の出た人にはかなり深刻な問題です。

かと言って、室内空間の話ではありません。



3位:アイドリングストップ機構が最悪




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