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雪道に強い4WDシステムとは
Issued on Jan. 22, 2017
Added on Aug. 16, 2020
Added on Aug. 16, 2020
目次
8. メカ式フルタイム4WD
8-2) デフロック機構付きセンターデフ式フルタイム4WD
ただし先程のオープンセンターデフ式フルタイム4WDのセンターデフに、デフロック機構が付いていれば話は別です。
デフロック機構付きセンターデフ式フルタイム4WD
これをロックしたら前述の前後直結4WDと同じですので、雪道の走破性はレベル2になります。
ここまで聞かれると、デフロック機構付きセンターデフ式フルタイム4WDはかなりマイナーな世界だと思われる事でしょう。
ところがどっこい、この4WDシステムはクルマ業界に革命をもたらしたのです。
アウディ・クワトロ
Added on Aug. 16, 2020
それが1980年に登場したアウディ・クワトロです。
いかにもフロントヘビーなたたずまいながらラリー界を席巻した初代クワトロ
クワトロと聞けば、クルマ好きの方ならどなたも一度は耳にした事がおありでしょう。
それまで、RR(リアエンジン・リアドライブ)が牛耳っていたラリー界を瞬くまに席捲したのですから。
RRによる後輪の絶大なトラクションによりラリー界を席巻したアルピナA110
そしてRRの代表格ポルシェ911
その初代クワトロが採用したのが、このデフロック機構付きセンターデフ式フルタイム4WDだったのです。
初代クワトロのシンプルなベベルギヤ式のオープンデフとマニュアル式のデフロック機構
これくらいの機構でしたら、当時のスバルも簡単に作れたのでしょうが、残念ながらそこまでのポンテンシャルを見い出せなかった様です。
実際当時の自動車雑誌を思い起こせば、クワトロのフルタイム4WDより、むしろ5気筒エンジンの方が注目を浴びていたくらいなのですから。
セリカGT-FOUR
このクワトロの影響を受けて開発されたのが、トヨタ初のフルタイム4WDであるセリカGT-FOURです。
デフロック機構付きセンターデフ式4WDを搭載した4代目セリカGT-FOUR(1986年)
1987年のマイナーチェンジでビスカスLSD付きセンターデフ式4WDに変更になりましたが、マイナーチェンジ前はこの4WDシステムを採用していました。
これ以降のクルマには、この4WDシステムは採用されていないのではないかと思いきや、あるのです。
ダイハツ・ビーゴ(トヨタ・ラッシュ)
それがダイハツのビーゴ(及びOEMのトヨタのラッシュ)です。
センターデフ式フルタイム4WDのダイハツ・ビーゴ
多少の悪路と雪道でしたら、この様の単純な4WDシステムでも十分なのかもしれません。
トヨタのラッシュ
さらにメーカーオプションですが、VSC(横滑り防止装置)+TRC(トラクションコントロール)を装着すれば簡易LSDになりますので、レベル13になります。
またVSC&TRCとの同時装着はできませんが、リアデフにはLSDも装着できました。
更にボディ構造にはビルトインラダーフレーム式モノコックを採用していますので、見かけはそれほどではありませんが、はっきり言ってジムニーより悪路や雪道には強かったと言えます。
2016年に生産終了になり残念でなりません。
と言いたい所ですが、実はまだ現役でこの4WDシステムが存在しているのです。
トヨタ・ライトエース・トラック
それがビーゴと駆動系を共通にしているトヨタのライトエース・トラックです。
フルタイム4WDのトヨタ・ライトエース・トラック
これもデフロック機構が付いたセンターデフ式フルタイム4WDを採用しています。
トヨタ・ライトエーストラックのフルタイム4WDシステム図
捨てる神あれば拾う神あり、といった所でしょうか。
8-2) デフロック機構付きセンターデフ式フルタイム4WD